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きのこは洗う?洗わない?適切な下処理と保存のポイント

293,381view 2017/10/11 07:00 料理上手
きのこは洗う?洗わない?適切な下処理と保存のポイント
*最終更新日:2024年10月10日

一年を通していつでも食べられる、きのこ。野菜ではなく菌類に属します。春と秋が旬の食材ですが、スーパーで売られているものは人工栽培が多いため、年間を通して販売されています。種類も多くメニューに気軽に使えるので、定番食材として利用する方も多いでしょう。

今回は、スーパーで売られているきのこの適切な下処理の方法と保存する際のポイントを紹介します。

基本的に市販のきのこは洗わなくてよい!

買ってきたきのこを調理する際、迷いながらも野菜と同じように水洗いしている方も多いのではないでしょうか。
例外もありますが、スーパーで市販されているきのこは衛生管理された室内環境で栽培されているため、基本的に洗う必要がありません。一方洗ってしまうと風味やうま味を損なうばかりか、水に触れることで劣化が早くなります。

「洗わないと、農薬が残ってしまうのでは?」と気になる方もいるかもしれません。日本ではきのこを無農薬で栽培している農家が多く、使用している場合でも農薬の質や量が定められ厳しく管理されているため、あまり気にする必要はないでしょう。

しいたけやしめじ、まいたけなどに、白いふわふわとしたカビのようなものがついていることがあります。これは「気中菌糸」というきのこの一部で、きのこを形成する菌糸が伸びたものなので、取り除く必要はありません
本当にカビが発生した場合は、きのこの色が緑や青に変色し、異臭やぬめり、水っぽさが出ます。この状態は腐敗してすでに傷んでいるため、速やかに廃棄しましょう。

洗わないと汚い?きのこを洗った方がよい場合は?

汚れが気になるときは、その部分を水でサッと流すか、湿らせたキッチンペーパーやふきんで軽くふき取ります。えのきやしめじなどで根元におがくずや木片が付着している場合は、異物混入を防ぐためにその部分を切り落とし、取り切れないときは水で洗い流しましょう。ただし、水に浸しすぎると水っぽくなるため注意が必要です。

例外として、洗った方がよいきのこもあります。
サラダに使う生のマッシュルームやなめこ、生きくらげ、はなびらたけです。粘りのあるきのこは中に汚れが残りやすいことや、生で食べる場合は汚れがついたまま口に入れる可能性があるため、水で洗い流してから調理しましょう。
また、山で収穫された天然のきのこは、土や砂の汚れがついているため水で洗い流します。さらに、虫がついていることが多いため、濃度1~4%の塩水に15分ほど漬けて虫を取り除く「虫出し」という作業が必要です。

スーパーでよく見かける、市販のきのこの下処理

スーパーで市販されている「しいたけ」「えのき」「しめじ」「まいたけ」「エリンギ」「マッシュルーム」の下処理について、それぞれ解説していきます。きのこの特徴を知り、料理に活かしておいしさを楽しみましょう。

しいたけ

しいたけは主に「冬菇(どんこ)」「香菇(こうこ)」「香信(こうしん)」の3種類があります。

「冬菇」は寒い時期に育ち、肉厚なため煮物や炒め物に向いています。「香菇」は冬菇・香信の中間にあたり、贈答品に使われることで知られ、「香信」は平らで身がうすく、干ししいたけでおなじみです。肉の厚みや歯ごたえを重視するのなら、「冬菇」がおすすめです。

かさのうす切り、そぎ切り、柄のうす切り、角切りなどさまざまな切り方があり、根元の石づき以外余すところなく使えるのがしいたけのよさです。煮物や炒め物のほかに、フライパンで焼いてしょうゆをたらすだけのシンプルな食べ方も楽しめます。干ししいたけの場合は戻して、うす切りやみじん切りにして使いましょう。
しいたけ
【下処理】
しいたけの汚れをふき取ったら石づきを切り落とし、かさと柄に切り分けます。
かさは、ひだを下にして切っていきます。
柄は繊維に沿って縦に切りましょう。
角切りにする場合は、縦半分に切り、1cm角に切ります。

しいたけのレシピを見る

えのき

えのきはくせがなく火がとおりやすいので、使いやすいきのこです。実はリラックス作用があるとされるギャバが豊富に含まれています。スープや鍋料理・炒め物・炊き込みご飯など、さまざまな料理に活躍してくれます。
小さなかさで柄が細長い姿をしているので、どこまで食べられるのか迷う方も多いかもしれませんが、根元の菌床部分を切り落とせばすべて食べることができます。
えのき
【下処理】
根元の菌床部分と白くなっている部分の境を目安にして切り落とします。
根元の線が入っている部分は栽培時の容器の線なので、間違えないようにしましょう。
菌床部分を切り落としたら、根元部分をほぐして使います。

えのきのレシピを見る

しめじ

しめじは歯ごたえが良くてくせもなく、えのきと同じように使いやすいきのこで、さまざまな料理で楽しむことができます。食物繊維に加えてカリウムやビタミンDなども含まれています。加熱しても食感が残るため、煮込み料理がおすすめです。
しめじ
【下処理】
ひとつの株にたくさんのかさがついているので、手で2つにわけてから、石づきを切り落とします。
使い方に合わせて、かたまりで裂いたり1本ずつ裂いたりしましょう。
包丁を使うのは石づきの硬い部分のみにし、手で裂く方が味がしみ込みやすくなります。
料理によっては小さく刻んで使うこともあるでしょう。

しめじのレシピを見る

まいたけ

へら状のかさが集まってかたまりになっているまいたけは、その昔幻のきのこと呼ばれていました。見つけたら舞い上がるほど嬉しいことから「舞茸(まいたけ)」と名づけられたそうです。その後、人工栽培の技術があがったことにより、一般的に食べられるようになりました。独特の風味と歯ごたえがありどんな味つけにも合います。

まいたけにはたんぱく質分解酵素「プロテアーゼ」が多く含まれています。茶わん蒸しに入れる際は、この酵素の働きによって固まらなくなるのを防ぐため、まいたけは先に加熱してから入れるようにしましょう。
【下処理】
石づきがないのでそのまま手で裂いて根元からかさまで使えます。
根元が硬い場合は、刻んで使いましょう。

まいたけのレシピを見る

エリンギ

太い柄に大きめのかさの姿をしたエリンギは、実はさつまいもよりも食物繊維が豊富に含まれています。味や香りにクセがなくて食べやすく、弾力とコリコリとした歯ごたえがアワビに似ていることから「白あわびたけ」と呼ばれることもあります。切り方を変えることで食感が変わるのも特徴です。味をしみ込みやすくしたいときは繊維にあわせて縦に手で裂き、食感を楽しみたいときは繊維に対して直角に輪切りするなど、料理や好みに合わせて切り方を変えましょう。
エリンギ
【下処理】
うす切りにするときは縦にうすく切ります。
手で裂くときはかさの下の部分を持って縦に裂きましょう。
角切りにするときはかさの下を切り、かさを4等分、残りの部分を縦4等分にし、1cm幅に切ります。

エリンギのレシピを見る

マッシュルーム

マッシュルームは、スープやサラダ・煮込み料理などによく使われるきのこです。香りがよくて、どの食材とも合わせやすく、見た目もコロンとしてかわいらしいため、料理のアクセントとして使われることが多いでしょう。料理に合わせて切り方を変えると、食感や風味などを楽しむことができます。
【下処理】
土がついている石づきを切り落とします。
かさの部分はかさを上にしてうす切り、2等分、4等分と縦に切りましょう。
厚さをそろえるのがコツです。

※サラダなどで生のマッシュルームを使用するときは、キッチンペーパーで汚れを拭き取るか、汚れが気になる場合は軽く水洗いをしましょう。 水洗いをする場合は、マッシュルームが水を吸わないよう手早くすすぐことがポイントです。なお、マッシュルーム以外のきのこは生では食べられないので注意しましょう。

マッシュルームのレシピを見る

使いかけのきのこ、最適な保存は?冷凍できる?

使いかけのきのこで早めに食べきる場合は、まずキッチンペーパーや新聞紙などに包み、保存袋に入れたりラップに包んだりしてから冷蔵庫の野菜室で保存します。3日以内に食べきるようにしましょう。
長期保存する場合は冷凍保存をおすすめします。洗う必要のないきのこはキッチンペーパーやふきんで軽く汚れをふき取り、水洗いしたときは水気をよく切ってから、下処理をしたうえで冷凍可能な保存袋に入れて冷凍庫で保存しましょう。保存期間は約1か月。ただし、なめこは長持ちしないため、2週間程度が目安となります。

調理をするときは解凍せずにそのまま使えます。自然解凍すると臭みが出て味が落ちたり、水っぽくなったりするため、そのまま加熱調理しましょう。

きのこは冷凍保存するとうま味がアップします。煮物やスープに使う際は、水の状態から入れて60~70℃で酵素が働くのできのこがよりおいしくなります。

この記事の作者

小嶋絵美 さん
小嶋絵美

フードライター×管理栄養士。好きな食べものは野菜とフルーツ。食べものと栄養について分かりやすく丁寧に伝えることを大切に、コラム執筆を行う。「食材をシンプルにおいしく」誰にでも作れる簡単レシピを提案している。

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