「蘇」千年前の和製チーズ?【ホワイトデーにも】 レシピ・作り方
作り方
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- 写真は倍量(牛乳1リットル)で作っています。
テフロン製(≒こびりつきにくいもの)のフライパンに牛乳を入れます。
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- 点火して、煮詰めていきます。ターナー(木べら等でも)でかき混ぜながら、吹きこぼれないよう火加減に注意します(最初は強火で、沸騰したら少し弱めてください)。
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- 20分ほど煮込むとこんな感じ(火加減が強火~中強火で1リットルの場合)。
フライパンの側面に付く膜もこそげ取りながら混ぜていきます。
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- さらに10分ほど煮込むとこんな感じ。
ここからは焦げないよう、火加減にさらに注意しながら煮込んでいきます。
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- さらに5分ほど煮込んだら、耳たぶほどの柔らかさに煮詰まります。ここで火を止めます。
(さらにもう一種類の蘇を作る場合は手順8~9をご参照ください)
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- ラップで包みます。
冷蔵庫で冷やすと、少し硬くなるので扱いやすくなりますよ。
「蘇(21世紀ver.チーズタイプ)」が完成!
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- 冷やしたら、お好みで切り分けてくださいね。
【実食】
ねっとりとした食感に優しい甘み♪カッテージチーズのようですが、もっと濃厚でミルク感(?)たっぷり。うちではかなり好評でした。
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- 【粉末タイプ】
手順5からさらに煮詰めていきます。
ここでは全体の1/5量ほど(牛乳200ccほど)を分けておき、煮詰めています。
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- 水分が飛んで、からからになったら、もう一つの「蘇(粉末タイプ)」完成!
【実食】
コーンフレークのような食感に甘みがほんのり。こちらは蜜をかけて食べるといいかも(手順12参照)。
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- 【「蘇」2種】
こうしてできたのがチーズタイプ(写真左)と粉末タイプ(写真右)。
現代の日本(奈良県等)で売られている蘇はもれなくチーズタイプのようです(手順14~16参照)。
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- 【蘇蜜】
蘇に蜂蜜をかけて食べても。
かの藤原道長は病にかかった際、「蘇蜜煎」を服用していたんだとか(小右記より)。蘇蜜煎とは、蘇と蜜を煮詰めたもののようですが、詳細は不明です。
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- ここでは蘇2種類に安易に蜂蜜をかけてみました。よく合いますよ(特に粉末タイプ)。
ちなみに道長は糖尿病だったと考えられており、乳製品+蜜なんて治療とは逆効果な気がして皮肉ですね。
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- 【蘇の作り方】
「作蘇之法」(延喜式より)
「乳大一斗煎 得蘇大一升」
訳:牛乳大一斗(7.1リットル)を煮詰めて、蘇大一升(0.71リットル)を得る。
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- 【蘇】
7世紀中葉、渡来人によって牛乳が日本に持ち込まれ、その半世紀後から蘇が作られ始めたようです。平安期には朝廷への献上品として、全国で蘇が生産されていました(延喜式等より)。
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- 【考察】
冷蔵等の保存技術がなかった当時、チーズタイプの蘇だと各地から運ぶ際にカビが生えたり腐ったりしてしまったでしょう。その点、水分の少ない粉末タイプなら長期保存に向きそうです。
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- ところで蘇には「生蘇」と「精蘇」という二つのタイプがあったことも分かっています(平城宮木簡より)。もしかしたら前者がチーズタイプ、後者が粉末タイプだったのかもしれません。
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- 2020/03/18
「今日のPickupレシピ」で取り上げていただきました。ありがとうございます。
おいしくなるコツ
牛乳を根気よく煮詰めるだけです(延喜式では「十分の一量にまで煮詰める」となっています。手順13参照)。吹きこぼれや焦げつきには気をつけてくださいね。時間と手間はかかりますが、美味しいですし、それに見合うだけの満足感もあり(笑)、お勧めです。
きっかけ
平安貴族の間ではポピュラーだったのに、やがて日本から消えた「蘇」。ただ、同じように失われた乳製品「醍醐」が謎すぎるのに対し、蘇には想像(創造)できる余地がある。古代史好きとして何とかせねば!まあ、ホワイトデーも近いことですし(←一体。。汗)
ほのかで上品な甘みに舌鼓を打つこと間違いなし!
作り方は牛乳を煮詰めるだけ。
ただその真の姿は歴史の闇に消え、謎めいていたり。。