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食物アレルギーが増えているのはなぜ?

近年増加傾向にあると言われている食物アレルギー。2013年に行われた文部科学省の調査によると、小中高校の児童生徒のうち約20人に1人が食物アレルギーを持っていることがわかっています。

日本の食物アレルギー増加の背景には、ここ数十年の食生活の変化があると考えられています。
輸入の拡大により、以前は一般的でなかった果物を食べる機会が増えた、外食の増加に伴い、以前は大人が食べるものとされていた食材を消化機能の未熟な幼いうちから食べるようになった等、時代の変化とともに食の多様化が進み、食物アレルギーの原因食材にも変化が見られています。

また、食の欧米化に伴い、牛乳や卵等アレルゲンとなる食材を食べる機会が増えたこと、肉類や加工食品の消費が進む一方、魚や野菜の消費が減少したこと等、食生活全体の変化による影響もあるとされています。

一般的なアレルゲン

食物アレルギーは、特定の食品を食べた時や触った時に、その食品に含まれるアレルゲンに免疫システムが過敏に反応して起こります。最も多いのは蕁麻疹等の皮膚症状ですが、目や鼻、口腔、呼吸器症状等様々な症状が見られます。

日本ではアレルギー症状を起こしやすい食品として報告されいるのは、卵、牛乳、小麦、えび・かに、落花生、そば等があります。

鶏卵アレルギーは、乳幼児では最も多い食物アレルギーです。主なアレルゲンはオボアルブミンやオボムコイド、リゾチームであり、加熱することによってアレルギーを起こしにくくなるのが大きな特徴です。リゾチームは、風邪薬に使用されることが多い成分です。食品添加物としての利用もあるため注意が必要です。

鶏卵に次いで頻度が高いのが牛乳。主なアレルゲンはカゼインです。鶏卵と違い、加熱してもアレルギーを起こす力はあまり弱まりません。牛乳の代替としては、カルシウム不足を補うことのできるアレルギー用ミルクの使用が推奨されています。またカゼインは食品添加物として利用されるため、加工食品の選択には注意が必要です。

鶏卵・牛乳に次いで頻度が高いのが、小麦。微量で強く反応するという特徴があり、小麦たんぱくの80%をしめるグルテンが主なアレルゲンです。小麦粉の代替としては米粉や雑穀粉があり、最近では小麦不使用の加工食品も比較的簡単に手に入るようになりました。ただし、市販の米粉パンは原材料にグルテンが使用されていることが多いため、注意が必要です。

(テキスト:尾上 雅子)

参考資料:

伊藤浩明(2014)「おいしく治す食物アレルギー攻略法」 (あいち小児保健医療総合センターアレルギー科作成)
真鍋穣(2011)「そうなんだ!アレルギーーしくみと対処法を知る」  (新日本出版社)
『文部科学省』 「学校生活における健康管理に関する調査」http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/25/12/__icsFiles/afieldfile/2013/12/19/1342460_1_1.pdf
成田雅美(2007)「食育の視点から食物アレルギーを考える」 『母子保健情報 第56号』 (2007年11月)
http://www.aiiku.or.jp/aiiku/jigyo/contents/kaisetsu/ks0802/ks0802_3.pdf
『厚生労働省』 「食物アレルギーとは」
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-08.pdf
『アレルギー支援ネットワーク』 「食物アレルギーって何?」
http://www.alle-net.com/info/info03-01/
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このテーマの作者紹介

尾上 雅子

管理栄養士
武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科卒業。
食品メーカーにて、品質管理・商品企画・販促・広報などの業務に携わる。
現在は、企業やクリニックでの生活習慣病予防・重症化予防のための保健指導や、食品関連企業の販促・広報支援などを中心に活動している。

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