餃子は、おじさんたちが駅前の中華店でビールを片手にしながら食べるおつまみというイメージはもう古い。最近は女子会が開催できるほどおしゃれな餃子店がオープンしたり、餃子の皮を使った簡単おやつや斬新なスイーツのアイディアレシピもよく見かけます。最近の餃子ブームでは、「脂っこくてにんにく臭い」という餃子のイメージがガラリと変りつつあります。
そんな餃子ですが、ご存知の通り、元々は中国から日本に伝わってきました。中国と言えば、小籠包や海老餃子のように蒸してあるものや水餃子が思い浮かびますよね。パリパリ羽がついている焼き餃子は日本発祥だと言われています。本場中国の餃子とはどんなものか、日本の餃子とはどう違うか、自分のお店を開いたほど餃子大好きな放送作家・
安野智彦氏と香港で大人気の完全予約制の中国料理店を運営している
グレイス・チョイ氏に対話していただきました。
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安野氏:私は香港も含め、中国には一度も行ったことがありません。しかし、アメリカのチャイニーズレストランに行ったとき、メニューには水餃子しかなくて、「中国には焼き餃子がないんだ!」と驚いたことを覚えています。私は餃子独特の食感3重奏「焼き餃子の焼けてる皮のカリッ!焼けてない皮のモチッ!餡の食感ジュワーッ!」が大好きなのですが、なぜ中国には焼き餃子がないのですか?
チョイ氏:中国でも「鍋貼(グオーティ)」と呼ばれる焼き餃子はあります。しかし、これは餃子の皮や餡が余った時に作るもので、いわゆるリメイク料理ですね。確かに日本の焼き餃子も美味しいですが、個人的には蒸し餃子の方が好きです。目を閉じて集中し、シェフのこだわりによって変わる具材のバランスと、皮のモチモチ感やこしを十分に味わうのが私のこだわりです!
安野氏:蒸し餃子も中国のスタンダードな餃子ですよね。日本人は昔から外国で生まれたもの、例えば電化製品や車を、独自にアレンジし進化させてきましたが、これ、餃子でもおなじことが言えますね。携帯電話は国内で進化しすぎてガラパゴス化してしまいましたが、そういった意味で、日本で独自の進化を遂げた焼き餃子はまさに「ガラパゴス餃子」、「ガラギョー」といってもいいのではないでしょうか?
チョイ氏:ははは。中国でも地域によって餃子が全く違いますよ。海で囲まれた香港では海老餃子が人気ですが、大陸の方ではお肉と野菜の組み合わせの餡が一般的。私は上海出身で、豚バラ肉にたっぷりの野菜を加えるのが好きです。入れる野菜を変えるとバリエーションが無限大。ちなみに、私のおすすめ具材はスイートコーンです!ほんのり甘くて、つぶつぶ感が味も食感も引き立ててくれますよ。
安野氏:スイートコーン?それは確かに新鮮な感覚ですね。うちの餃子は、豚肉、キャベツ、ニラ、長ねぎという極めてオーソドックスな食材で構成されていますが、絶対に外せないのが「生姜」です。生姜は他の食材を引き立てるような風味を醸し出します。
チョイ氏:私も餡にたっぷりの生姜を使います。餡に入れる生姜ももちろん美味しいですが、小籠包のように、香酢と針生姜を合わせたつけダレにつけて食べるとさっぱりして、生姜の食感も楽しめます。
安野氏:さすが上海出身ですね。私の定番ダレは「酢+ブラックペッパー」です!特に細かく挽いたブラックペッパーは風味があって、餃子とよく合います。日本っぽい調味料をあげれば、練り梅がおすすめ。このミスマッチ感はハマりますよ。
チョイ氏:餃子に練り梅をのせるっていうことですか?どんな味なんでしょう、それ・・・
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日本VS中国の餃子談義の後編「本当に美味しい餃子を作るコツはこれ!」は
こちら。